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公開日:2020年5月5日

波多野ご夫妻(仮名)はすでに席についていた。8時半ごろだったと思う。ツアーの最後、一旦彼らを、ワイコロアビーチリゾート内のクイーンズマーケットプレイスにお下ろししてからさらに、リゾート地帯の北上を続け、フェアモントとマウナラニのお客たちをお送りしたのち、またもと来た道を南下してからの合流だったので少々時間がかかったのだ。

「どうも」

二人はぱっと顔を上げて表情を明るくした。奥さんは丸顔に大きな瞳が印象的な女性でツアー中のやりとりで得た感覚では、おっとりとした、大らかなイメージ、言葉を変えれば、若干ポーッとしてなくもない、あと1日で満月となる感じの人だった。元コンパニオンだったそうだが、この人なら、着ぐるみを着なくてもご当地キャラに十分対抗しうるお顔と雰囲気は備えている。小柄なご主人はかなり若そうな見かけに寄らず、五十五歳と意外であったが几帳面な繊細さは、しかし神経質を思わせるものとは違って、自由に生きることを自らに許したその経験から来ているものであることが窺える。ツアー中、興味が湧いたのでどの様な仕事に従事されているのかと尋ねるとイベント企画の会社を経営しているらしい。なんとはなしに奥さんとの馴れ初めなどが連想され、芸能関係だろうと勝手に心に収めておいたのだが、こうしてあらためてお招きに預かった席で見ると、顔には彼の確固たる個性としての誠実さが現れている。自分を誤魔化し得ない特質、したがって社会通念に迎合出来ないという性格である。気さくに席を進めてくれた。

「お疲れのところどうもどうも」

やはり波多野さんはツアー中で見た彼とは別人の様に頼もしく見える。丁重に一日の労のねぎらいを受けて、まずはと開いたメニューを手渡してくれた。

「なんでもご遠慮なく注文してくださいね。今のところ、エビのカルパッチョとワカモレナチョスは頼んであるのですが、飲み物は?ビール?」

もちろん運転があるのでアルコールは頂けない。ベテランのツアーガイドである。しかし彼にはそういうことを簡単に忘れさせる鷹揚さがさがあった。

「じゃあとりあえずは、このIPAをいただきましょう。」

いろいろと一日の思い出なども交えながら、あっという間に場が和んで行く。職種上いかに初対面の人たちと短時間のうちに心を通わせることができるかというところにガイドの手腕が問われるものだが、一日をすでに分かち合った今となっては、気心しれた旧知の仲とでも言えそうな雰囲気があった。正直、とても寛いだ。頃合いよく奥さんが何度かお酌をしてくれた。ご主人が、見計った様に言った。

「私も高杉荘に住んでいたんですよ。」

思わず口に含んだビールをゴクリとやった。

「橘先生のお話を私も聴きに行ってたんです。ガイドさんが清里にいた時期よりちょっと後ですね。いやびっくりしましたよ。清里という単語が出た時にピンときたんんですが、まさか住んでいたところまで同じだなんてね。」

 

それからしばらくはお互いの清里談義で盛り上がった。時おり飛びだす幾名かの共通の知人の名前にも懐かしさが込み上げる。講話中の壇上に置かれている飲料水は、とても甘く変容していることや、先生がある時、富士山の噴火をお止めになった話などはやはりお互いに知るところだった。残念ながら先生はミレにアムを前にすでに他界されていたが、新しい時代の価値観を懸命に示し続けられた、傑出したお方でしたね、と波多野さんと頷き合っていた。そこに奥さんが割って入った。

「ということでガイドさん、これからはしばらく私の体験をお聞きください。」

 

彼女は語り始めた。次第にそれまでとは違った空気が全身を包み、瞳はたじろがず言葉は明瞭淡々、まさに心の奥底までしっかりと錨が打ち込まれた揺るぎない態度がしごく心地よかった。

その体験は3年前から始まる。深夜に窓から閃光が差し込み、部屋中を眩く照らすと突如ベッドで体が動かなくなり声も出せない。そんなことが幾夜か続いた。本人はそんな初めての金縛りの体験にいささか興味を持ったらしいが遂にある夜、子供の様な小さな存在が二体現れじっと彼女を見つめた。ぼんやりと光るその白い顔には黒々とした大きな二つの瞳しかないような印象。もちろん彼女の体は動かせないままで声もやはり出せない。しかし曰く、不思議と恐怖が全く湧いてこないそうで、そのうち

『一緒に来てくれますか』

という言葉が脳裏に響いた途端、

『はい』

と胸の内で答えてしまっていた。すると、たちまちスゥーッと心地のよい上昇感に包まれたかと思えば当たりの状況が一変していたという。そこはおそらく彼らの活動する船内だと彼女は理解した。しかし計器類の様なものは一切なく壁や床にはつなぎ目という様なものもない、照明もないはずなのにそこは眩しすぎない光で満ちていた。何かこう、生き物の体内の様な感じだったそうだ。彼女は依然として台の上に横たえられていた。肉体の感覚はなかったので動くことはできなかったが自由に観察することはできた。そに居合わせている数名の存在達は皆、あの大きな目の種族らしく一様に鼻や口があまりにも小さいためか表情というものがまるでない。痩身で、人間のプロポーションとは全く違った比率の体には何も纏っていない。しかし何より驚かされたのは、その空間が圧倒的な力で満ち満ちていることだった。彼女は力を込めて

「愛だけで満たされている」

と表現した。安らぎと喜び以外の何もその空間にはなかった。そして会話もないわけだが、心に問えばいや、思えばすぐに答えが心に返ってくるというやりとりが続いた。そしてある程度の時間が経つとまた眠りにつく様に促され、次に目覚めると普段と同じまた自室のベッドである。そんなことが週に一二度、ひと月ほど続いたらしい。

船内では、空間全体がホログラフィックなスクリーンとなって、様々なビジョン、図形やおそらく多次元宇宙の様相などを見せたられたが、特にフォーカスされたのは、彼女自身の意識の構造だった。肉体感覚のない状態にあってはまさに体の内も外もないわけだが、彼女の言葉を借りれば、響き、としか言えないコトバの誘導に従って、様々な記憶とそれにまつわる感情の連鎖が、スクリーン全体にありありと映し出されてくる。そう、感情までが図形と色合いで描き出される。そしてそれをはっきりと観た時、つまり記憶から感情へ、そしてそれぞれの感情に対して繰り返ししてきた判断、ああ嫌だとかああ好きだと言った思いが最後にはに映し出されるまで観つづけると、そのつど吐き気の様な感覚が現れてはスクリーンが真っ黒になって、スッ消えては順次、感情と記憶のビジョンも消えでいった。

彼女という人格を形成している記憶と感情による観念のひとつひとつをホログラフィックに正視させられるわけで、そこに焼き付けられた自らの判断を外す作業なのである。やがて外し切ったところで彼女はこの上ない幸福感を体験するに至っている。と言ってもその状態は言葉にするのは至難の技で、仮に

無限の愛

としか言い表せないと語った。

「その無限の愛が宇宙を創造する力。それが私たち一人一人の本質です。人は自身で選択した思いによって世界を創っています。そしてその世界で自分という思いを持ち始めますと無限の愛の実感がだんだんと薄れて、とうとう五感で認識するこの肉体が自分だと思う様になってきます。すると必死で自己防衛のため、様々な営為に駆り立てられることになるのです。同時に生まれる恐怖という、拭い切れない思いに必然的に苛まれながら。争い、苦悩しながら。しかしね、このままでは、地球人は自らの手で地球という生命体を破滅させてしまいかねません。残された時間は少ないのです。ですから宇宙の友人達が手を差し伸べているのですよ。でも決めるのは自分です。こうなったのも、もともと私たちの無限の愛の力ゆえなんですから。この無限の愛に立ち返る人が今、特に日本に増えなければならないのです。」

その不思議なひと月間の体験のあと、もはや船内に引き揚げられることはなくなった。しかしそれから後は、普段の生活の中でも、あの空間で体験していたのと同じ交感回路が開かれる様になった。そして自らが体験して得た智恵もって、また適宜、彼らのテレパシックな助言や誘導を得て日本の人たちにその幸福、つまり無限の愛に立ち帰ってもらうお手伝いをすることが現在の彼女の仕事だという。

波多野さんの方を見ると彼の表情がほころんだ。

「ね、通じるでしょ。先生のおっしゃっていたことに。」

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ポハク西田
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